本日もメール配信システム「ワイメール」の公式コラムをご覧いただき、ありがとうございます。
メール配信に携わっていると、「SMTPサーバ」という単語を目にする事があるかと思います。
メール配信においてSMTPサーバは大きな役割を担いますが、SMTPサーバは複雑で、その構築や管理には専門の知識が必要となります。
そこで今回は、SMTPサーバを使ったメール配信への理解を深めるため、メールの送受信で使われるSMTPサーバの役割と構築についてご紹介していきます。
目次
そもそもSMTPとは?
SMTPサーバについて解説する前に、そもそも「SMTP」とは何を指すのかについてご紹介します。
SMTPは「Simple Mail Trancefar Protocol」の頭文字を繋げた言葉で、その名の通り、電子メールを送信するためのプロトコルを指します。
SMTPサーバとは?
SMTPサーバとは、先述のSMTPを使いメールの送受信を行うサーバのことを指します。
SMTPサーバは、クライアント(メールを送信するソフトウェア)からメールを受け取り、それを他のSMTPサーバに転送する役割を果たします。これにより、送信者から受信者までのメールの配送が行われます。
SMTPサーバの仕組みについてより詳しく解説をすると、SMTPサーバを構成するソフトウェアには、「MTA(Mail Transfar Agent)」と「MDA(Mail Delivery Agent)」といったメールエージェントと呼ばれるソフトウェアがあり、これらのソフトウェアによってメールの送受信が行われます。
これらのメールエージェントについては下記コラムでもご紹介しております。
<参考:メール配信に使用されるメールエージェントとは?メール配信の仕組みと合わせて紹介>
また、メール配信を行う企業の中には、SMTPサーバを含むメール配信インフラの自社での構築を検討する場合もあるでしょう。
そこで、次章からはSMTPサーバを自社で構築する場合のメリット・デメリットについてご紹介していきます。
SMTPサーバの構築
SMTPサーバを構築するメリット
プライバシーとデータセキュリティ
自社でSMTPサーバを構築することで、メールデータのプライバシーとセキュリティを完全にコントロールできます。外部の第三者にデータを委ねる必要がないため、機密情報の漏洩リスクが低減されます。
要件に応じたカスタマイズ性
自社サーバでは、迷惑メール判定対策やフィルタリングなどの特定の要件に応じたカスタマイズが可能です。
パフォーマンスの最適化
サーバの設定やハードウェアを自社のニーズに合わせて最適化できるため、メール送信のパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。これにより、大量のメールを迅速に送信することが可能になります。
独自ドメインの利用
自社でSMTPサーバを運用することで、独自ドメインのメールアドレスを自由に設定・管理できます。これにより、ブランドイメージの統一や信頼性の向上が図れます。
SMTPサーバを構築するデメリット
初期コストと管理コスト
サーバの購入、セットアップ、保守にかかる初期コストと運用コストが発生します。また、ソフトウェアライセンス、インフラの整備、管理なども必要となります。
また、SMTPサーバの構築を外注する場合、大規模でハイスペックなものだと数百万円単位のコストが発生する場合もあります。
専門知識の必要性
SMTPサーバの構築と運用には専門知識が必要です。セキュリティ対策やトラブルシューティングのために、専任のITスタッフが必要になることが多いです。
セキュリティリスク
適切なセキュリティ対策を講じないと、スパムやハッキングのリスクが高まります。メールサーバは攻撃の標的になりやすく、常に最新のセキュリティ対策を講じる必要があります。
スケーラビリティの課題
大量のメールを送信する必要がある場合、サーバのスケーラビリティが課題となります。負荷分散やリソースの拡張が必要になることがあり、それに伴うコストと管理の負担が増加します。
ダウンタイムのリスク
自社サーバの場合、ダウンタイムが発生した際には自社で対応する必要があります。外部サービスを利用している場合と比べて、復旧までの時間が長引くことがあります。
SMTPサーバを構築せずにメール配信する方法
これまでご紹介してきた通り、SMTPサーバを自社で構築する場合にはメリットがある反面、多くのデメリットも存在します。
それらのデメリットを看過できない場合は、SMTPサーバを構築せずにメール配信することを検討していく必要があります。
そこでSMTPサーバを構築せずにメール配信する方法とそれぞれのメリット、デメリットをご紹介していきます。
外部メール配信サービスの利用
ワイメールなどのメール配信サービスを利用することで、大量のメールを簡単に効率的に配信できます。これらの多くのサービスでは、スパム判定対策設定や豊富な効果測定機能等を提供しています。
メリット
・大量のメールを簡単に配信可能
・専用サーバからのメール配信やスパム判定対策設定等により、メール到達率が高くなりやすい
・メールの開封率やクリック率などの効果測定機能を利用可能
デメリット
・大量のメールを送信する場合、コストが高くなることがある
・メールデータが外部サービスに保存されるため、機密情報の管理に注意が必要
クラウドベースのメールホスティングサービスの利用
G Suite(Google Workspace)やMicrosoft 365といった、GoogleやMicrosoftが提供するクラウドベースのメールホスティングサービスを利用することで、メールシステムを簡単に管理できます。
メリット
・高い可用性と信頼性
・強力なセキュリティ機能
・企業・事業の成長に合わせて簡単に拡張可能
デメリット
・長期的な利用ではコストがかかる場合がある
・自社サーバほどの柔軟なカスタマイズが難しい
ISP(インターネットサービスプロバイダ)のSMTPサーバ
ISPが提供するSMTPサーバを利用することで、メールの送信が可能です。
メリット
・多くの場合、ISPの契約に含まれている
・簡単に設定可能
デメリット
・一日に送信できるメールの数やサイズに制限がある場合がある
・ISPのSMTPサーバは、専用サーバを使用するメール配信サービスほど高いメール到達率を持たないことがある
最後に
SMTPサーバを自社で構築することには、データのプライバシーやカスタマイズの自由度など多くのメリットがありますが、初期コストや運用の負担、セキュリティリスクも存在します。
自社のリソースとニーズを十分に検討し、場合によっては外部のメール配信サービスを利用するなど、適切な選択をすることが重要です。