本日も、メール配信システム「ワイメール」の公式コラムをご覧いただき、ありがとうございます。
皆さんは顧客や従業員との緊急時の連絡ツールに、何を使用していますでしょうか?独自の社内連絡システムを構築している会社もあれば、SlackやDiscordなどの、民間のチャットサービスを契約している場合もあるかもしれません。いずれにせよ、現在ではSNSを始めとして、さまざまな意思伝達・共有ツールが存在します。
今回は、ワイメール個別の案件ではなく、メール配信を含めた災害時の通信手段のあり方について、東日本大震災時のアンケート結果を交えながら考察してみたいと思います。
目次
東日本大震災発生時の連絡手段
2011年3月当時は、まだスマートフォンも今ほど普及しておらず、多くの人がガラケーを利用していました。LINEもまだサービスを開始していませんでした。連絡手段は、ほとんどが電話か、携帯電話のメールが主流でした。
最初に試した連絡手段
総務省のアンケートによると、東日本大震災発生直後、最初に試した連絡手段は、電話が72.5%(固定電話 12.7%・公衆電話 1.6%・携帯電話 58.2%)、電子メールが25.1%(携帯,PHS 22.7%・PC 2.4%)でした。
ほとんどの人が、まずは電話で安否確認を行ったことがわかります。
それに対して、最初に連絡が取れた手段は、電話が64.3%(固定電話 14.9%・公衆電話 3.7% 携帯電話 45.7%)、電子メールが31.8%(携帯,PHS 28.7%・PC 3.1%)でした。
この結果から、相対的に電子メールの方が、結果的に早期に連絡を取ることができたことがわかります。
これは電子メールが有用であったというというよりは、その他のアンケート結果より、若い人ほど、メールやSNSなど、電話以外の通信チャンネルを保持しており、複数の連絡手段を試すことができたということが推測できます。
当時の通信状態
また、当時の電話のつながり具合を見てみると、「全くつながらなかった」と回答した人が40%いることがわかります。
その一方、「メールの送受信が全く利用できなかった」と回答した人は、17.6%にとどまっています。
個人的な体感も含まれているとは思われますが、結果的に電子メールの方がつながりやすい状況であったことが伺われます。
このデータからわかることは、利用者急増による輻輳が、電話回線設備の方が長く続いたことを示しています。そして、比較的輻輳の少なかった電話以外の通信手段では、電話より繋がりやすかったことがわかります。
SNSの台頭
前記のように、東日本大震災では長時間にわたり電話が不通になってしまいました。その一方、メール、Twitter、FacebookなどのSNSは利用できたので、ネットが電話の代わりに利用されて、安否確認に大いに役ちました。
当時まだ利用者は限られていたものの、特にTwitterやFacebookで自分や周辺の情報を世界中に写真や動画で発信したり、メッセージ機能で個別に連絡を取り合うことができました。これは、SNSが震災時の安否確認に役立った世界初の事例として海外からも注目されました。
そして、東日本大震災から3か月後の2011年6月から、LINEがサービスを開始し、今では、スマートフォンが普及して、特に日本ではLINEがコミュニケーションの中心になっています。
その結果、現在日本国内における通信コミュニケーションの手段は、2011年当時よりも格段に増え、さまざまなチャンネルを介して情報のやり取りが行えるようになりました。
マルチチャンネルの重要性
以上のように、ここ十数年で通信コミュニケーションの手段は格段に増えて通信状態も安定し、利用する側の立場としては手段が分散し、災害時の通信コミュニケーション遮断のリスクはますます低くなっていると言えるでしょう。
これらは、我々が東日本大震災時から得ることができた、一つの教訓であり、その教訓を生かした結果であるともいえます。
しかし、SNSが便利だからと言って、1つに依存してしまうのもリスクがあることを覚えておかなくてはいけません。
SNS依存の落とし穴
重要なのは、SNSはプラットフォームが一企業に依存しているという事実です。例えば、LINEが突然利用できなくなることも、想定しておかないといけません。
実際に、2016年3月11日の17:45から19:58までの約2時間15分間に渡って、LINEで障害が発生し、メッセージの送受信や通話機能などが使えなくなりました。当時全世界で1億人以上、日本で6,800万人以上がLINEを利用しており、サービスが利用できなくなりました。
当日は東日本大震災からの5年目で、14:46には日本中の多くの職場や学校で黙祷が行われていましたが、その3時間後にLINEが利用できなくなりました。金曜の夕方から夜にかけてLINEが利用できず、待ち合わせやコミュニケーションで困った人も多く発生しました。
プラットフォーム別、通信規格別のリスク分散を
現在さまざまなSNSが存在し、それぞれ別の法人が運営していますので、複数のSNSを利用できる体制にしておけば、一定のリスク分散は可能です。
しかしそもそもSNSは、インターネットの通信規格である、TCP・IP上の上位レイヤーであるHTTPを利用したサービスです。HTTPをやり取りできるのは、たいていの場合WEBサーバと呼ばれるサーバ上のソフトウェアです。
通信障害が発生する場合、WEBサーバ(または配下のDBサーバなど)にHTTPアクセスが集中し、負荷分散装置なども機能しなくなってアクセスを捌けなくなる、または、停電、回線会社やプロバイダのIP転送機器などの障害により、IPの通信経路が捌けなくなるといったものがほとんどです。
電子メールの場合は、HTTPとは別のプロトコルを使用し、WEBサーバとはサーバが分離されている場合が多いため、前者のトラブル時には物理的に有効です。
後者のトラブルの場合は、インターネットだけでなく、光回線を利用したIP電話なども利用ができなくなりますので、固定電話または、高速モバイル回線(4G回線など)での代替が必要となります。
これらすべてをカバーするのは、経費的にも管理上も現実的ではないかと思いますので、普段どの手段をメインで利用するにせよ、プラットフォームまたはプロトコル別で1つ+回線別で1つのバックアップを、いつでも利用できるように備えておくかのがおすすめです。
またこれらのサービスを実際に契約をしなくても、災害時にはどのような設備・サービスを使って、どのような行動をとるか、などをマニュアル化しておくだけでも有効です。
最後に
今回は東日本大震災時のアンケートを基に、災害時の通信手段のマルチチャンネル化の重要性ついて考察いたしました。
また前述のように、電子メールは、固定電話回線やHTTPアクセスの混雑時に有用な手段です。
ワイメールは、連絡手段のバックアップとしてのご利用も視野に入れた、低価格かつ定額で利用できるメール配信サービスです。連絡ツールのマルチチャンネル化のご検討時には、ぜひワイメールも一候補として検討いただければ幸いです。
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