配信環境がブラックリストに登録される原因と対策

今回もワイメール公式コラムをご覧いただき、ありがとうございます。

Gmailなどのフリーメールサービス宛の配信で受信ブロックが発生する原因として挙げられる「ブラックリスト」への登録。

今回のコラムでは、ブラックリストへの登録理由を解説し、ワイメールでの対応について確認したいと思います。

ブラックリストとは

ブラックリストとは、スパムメールを送信する悪意のある送信元IPアドレスやドメインを特定し、迷惑メールフォルダへの振り分けや受信ブロックの判断に利用するためのリストを指します。

ブラックリストの管理団体がリスト毎の基準に沿ってスパムと判断されたIPアドレスやドメインを取集し、各メールサーバーにリストを提供することで、メールサーバーは新たに受信したメールの送信元がどのような評価を受けているのかを確認し、受信の可否や迷惑メールフォルダなどへの振り分けの判断に使用しています。

ブラックリストに登録された場合の影響

ブラックリストに登録されている時点で、ほかのメールサーバーからの情報によって「スパムの可能性が高い」と判断されていることになるため、迷惑メールフォルダ振り分けや受信ブロックを受ける可能性が高くなります。

ブラックリスト状況から実際に受信可否を判断するのはメールサーバーのため、送信先のメールサーバーによってリスト登録が到達率に寄与する割合については様々ですが、フリーメールサービスでは著名なブラックリストに登録されているだけで受信ブロックを行う場合もあります。

以下はIPアドレスがブラックリストの一つであるSpamhausのSBL(The Spamhaus Block List)に登録されたメールサーバーからicloud.comのメールアドレス宛に行われた配信が、受信ブロックを受けた際のメールサーバーのログです。


受信ブロックの直接の原因がSpamhaus SBLへのIPアドレスの登録であることがわかります。

また、192.0.2.0/24(192.0.2.1~192.0.2.254の254アドレス)のような、特定のネットワークで、一定数または一定割合のIPアドレスがブラックリストに登録されることで、リストによってはそのネットワーク自体が巻き添えでブラックリストに登録されてしまうことも否定できません。

登録される原因

単一のIPアドレスがブラックリストに登録される原因は、大きく分けて以下の2種類に分けられます。

  • メールサーバーの設定や、DNSの設定に起因する問題
  • 送信するメールの内容や、送信先のメールリストに起因する問題

ここでは前者を「設定の問題」、後者を「運用の問題」として詳しく解説していきます。

設定の問題

受信側のメールサーバー、あるいはスパムリストの運営者が「このIPアドレス/ドメインからの配信はスパムの可能性が高いな」と判断する原因はどこにあるでしょうか?

様々な原因が考えられますが、その内の一つに、「認証されていない、なりすましが可能なメールサーバー/アドレスからメールが送信されてくる」ことが挙げられます。

過去のコラムでもご紹介している通り、メールはその仕様上なりすましが容易なため、配信を行うドメインでDNSレコードを公開して、SPFやDKIMなどを使用した認証を行うことが一般的です。

これらの認証に対応していないということは必然的になりすましである可能性が高くなるため、ブラックリストに登録される場合があります。

その他、サーバー間でメールの送受信を行う際のやり取りで接続元のIPアドレスに紐づけられたドメイン名と別のドメイン名が使用されるなど、メールサーバー自体の設定が適切ではないことによってスパム配信者と判定される可能性もあります。

設定の問題への対応

設定の問題については、使用しているメールサーバーの構成や、DNSレコードなどを、ブラックリストが求める精度できちんと設定することで対応が可能です。

ワイメールでは、それらの設定は主要なフリーメールサービスや大手ブラックリストが推奨している設定に併せて弊社が最適化し、都度アップデートしています。

実際に、弊社でもお客様への案内メールなどを送信するために、お客様の環境と同じように用意したワイメールの配信環境を使用していますが、ワイメールの会員として受信を承諾したアドレスのみに配信している点や、適切に配信停止を行う運用の甲斐もあり、ブラックリストには登録されていません。

また、長年ご利用いただいているお客様でも、一度もブラックリスト登録を検知していないお客様も多数いらっしゃいます。

メールサーバーの仕様が同一な環境から配信を行っているのに、ブラックリストの登録有無に差が生じることから、ワイメールのご利用においては、後述するお客様のご運用がブラックリスト登録に大きく影響していることがわかります。

運用の問題

「設定の問題」では、スパムの可能性が高い送信者の設定上の特徴をもってブラックリストに登録される場合があることを説明しましたが、こちらはもっとシンプルに、送信したメールが受信者や受信サーバー、ブラックリスト運営者にスパムと判断されることで登録が行われます。

具体的には、スパムメールと判断される内容のメールを送信した、配信の許可を得ていないメールアドレスに対して配信を行ったなどです。

特にリストの管理については重要で、オプトイン(配信前の同意)をとることはもちろん、メールアドレスの文字列に間違いがないか(gmail.com → gmai.comなど)にも気を付ける必要があります。

また、スパムトラップと呼ばれる、ブラックリストがスパムを検知するためだけに用意したメールアドレスに配信を行ったことで、ブラックリストに登録される例があります。

スパムトラップへの配信は、一定回数以上蓄積すると確実にブラックリスト登録の原因になります。

スパムトラップは運用者が自発的にメールマガジンなどに登録を行わないため、そのアドレスにメールを送信する送信者は、送信先のリストを第三者から購入した、または所有者の同意を得ない形でメールアドレスを収集したなど、リストの管理に問題があると判断できるからです。

なお、筆者がワイメールの顧客環境の解除申請で、あるブラックリストの担当者とやり取りをした際に「スパムトラップはその目的から意図しない受信が発生してもエラーやバウンスメールは返さない」と教えてもらったことがあります。

これは、ワイメールをはじめとするメール配信サービスの基本機能である、「不達時の自動停止」が機能せず、スパムトラップが送信リスト内に存在する限り、ブラックリストに登録され続けることを意味します。

運用の問題への対応

メールの内容については、「スパムととられかねない内容の配信は行わない」につきます。

重要なのはリストの管理で、どんなに健全で読者が求める内容を配信していたとしても、読者自身によるメールアドレスのうち間違いや、悪意のある第三者による意図的な誤登録のリスクは存在します。

ですが、メールアドレスを取得・登録する際に、オプトインメールを送信して、メールアドレスの有効性や、所有者の購読の意思を確認することで、この問題は解決します。

ワイメールでは、フォームからの読者自身による自主登録と配信者のCSVインポートなどによる代理登録のいずれでも、オプトインメールを送信して、メール内の本登録リンクから登録したメールアドレスが登録される機能を用意しています。

ワイメールにおけるオプトインに関する設定

また、購入したリストに対する配信については、FAQに記載の通り、「関連法規に則っていれば禁止ではないが、エラーやクレームの発生確率が高いため運用には十分注意が必要」なため、推奨していません。

ワイメールの配信環境がブラックリストに登録された場合の対応は?

ワイメールは、ご契約ごとにドメイン・IPアドレスを含め、すべてのリソースが独立したお客様専用の配信環境をご用意しています。

また、配信環境を構築する際に、そのIPアドレスが主要なフリーメールサービスからのブロックや、大手のブラックリストへの登録を受けていないことを確認してからご提供しています。

その他、メールサーバーやドメイン認証の仕様については、主要なフリーメールサービスのガイドラインに沿い、大手ブラックリストの登録条件にかからないよう慎重に設定されています。

そのため、お客様に配信環境をご提供したのちに発生したブラックリスト登録については、お客様の運用によって行われたものであると判断し、原則お客様ご自身で解除申請などのご対応を行っていただくようご案内しています。

なお、サービスご利用中に弊社でブラックリストの登録について確認した際にはご利用状況を確認のうえ、警告を行わせていただいています。

場合によってはネットワークに属する他のIPアドレスの巻き添え登録を防止するため、その環境からの配信の一時停止や、サービス解約などの対応をとらせていただく可能性もございますので、ブラックリスト登録に関する警告を受け取った場合は、真摯にご対応いただけますと幸いです。

ブラックリストの解除申請

上記の通り、お客様ご自身でブラックリストから解除申請を行っていただく必要がありますが、基本的にどのブラックリストでも、解除用のフォームが用意されており、そこに必要な情報を入力して送信するだけで手続きは完了します。

ブラックリストや、登録回数などによって即座にリストから解除される場合もあれば、解除のチケットが起票され、ブラックリストの管理者とやり取りをする必要がある場合もありますが、いずれにせよ、案内に沿って進めていくだけで、リストからの解除は可能です。

なお、やり取りは基本的に英語になると思いますが、最近はWeb上で高精度の翻訳ツールが無料で使用できるので特段苦労はしないと思います。

Spamhausの解除申請については、過去のコラムもご参照ください。

ブラックリストに登録されたら運用の見直しを

「さて、解除申請してブラックリストからも無事解除されたし、到達率も回復するだろう。これからもどんどんマーケティングメールを配信していくぞ!」

などと考えていませんか?

もちろん、ブラックリストから解除されたことでリストを理由にブロックされていたサーバーにも届くようになり、到達率も上がるかもしれません。

ですが、一度ブラックリストに登録されたということは、リストに登録された理由があるはずです。

これを放置したまま配信を続けると、またブラックリストへ登録され、到達率が落ちてしまう、継続的にブラックリストに登録されることで、解除申請自体が通らなくなるなどの結果に繋がりかねません。

「運用の問題への対応」でご紹介したオプトインメールによるメールアドレス有効性や購読意思の確認と併せて、メール内容の推敲や配信頻度の調整など、ご運用の見直しを頂けますと幸いです。

最後に

いかがでしたでしょうか?

ワイメールサポートでは、迷惑メール振り分けや受信ブロックに関する問い合わせに対して、「受信サーバーのガイドラインに沿ったシステムの仕様と配信の運用努力によって」到達率の向上・維持が可能である旨を案内しております。

これは、ブラックリスト登録を含めて、送信したメールがスパムメールとして扱われないためには、メールサーバーが要求された仕様を満たすだけではなく、実際にご運用されるお客様ご自身の適切な送信内容やリストの管理が不可欠であるためです。

この機会に、ぜひご運用の見直しを頂き、健全なメール配信に努めていただけますと幸いです。

引き続き、ワイメールをご愛顧いただけますようよろしくお願いします。

免責事項

当コラムの内容は、コラム執筆時点での内容です。今後のバージョンアップ等により、仕様やインターフェイスが変更になる場合がございます。

また、ブラックリスト登録の基準については、それぞれのリストによって異なり、非公開の場合もございますため、本コラムで紹介した登録原因がすべてとは限りません。

ブラックリスト登録やその解除方法については、お問い合わせいただいても弊社では原則ご回答いたしかねます点、あらかじめご了承ください。

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