googleやoutlook、icloudのようなフリーメールサービスは、しばしば受信ブロックを発動して、特定の配信元からのメールを受信拒否することがあります。
フリーメールサービス事業者が受信ブロックを発動する根拠や基準は、残念ながら公開されていません。
しかし、迷惑メールの配信元に関する情報をまとめた、いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれるデータリストが受信ブロックに影響していると言われています。
目次
迷惑メール送信元リストを提供するブラックリスト
インターネット上には、迷惑メールの送信元に関する情報をデータベース化し、そのデータを提供するサービスあるいはプロジェクトが数多く存在します。
これらのサービスは一般的に「ブラックリスト」あるいは「ブロックリスト」と呼ばれています。
多くのブラックリストでは、迷惑メール配信元を特定するために、IPアドレスやドメインといった情報を登録しています。
自分が利用しているメール配信環境のIPアドレスやドメインが、これらブラックリストに登録されてしまうと、配信したメールが思い通りに届かなくなることがあり得るのです。
ブラックリストに登録された場合の影響
ブラックリストに登録されるということは、そのメール配信元が迷惑メールを配信する元凶だと認識されたということです。
例えば、ブラックリストに登録されたIPアドレスを配信元にしたメールは、迷惑メールである可能性が高いと判断されてしまいます。
多くの場合、ブラックリストに登録されてしまうと、メール到達率の低下あるいはフリーメールサービスからの受信ブロックというペナルティを課されることになります。
自分が運営しているメールマガジンの到達率が低下していると感じたらブラックリストへの登録状況を確認し、更に定期的にチェックするように心がけることで、思わぬメール不達のトラブルを避けられるかもしれません。
主なブラックリストサービス
「ブラックリスト」サービスを提供する組織は数多くあります。
以下では、「ブラックリスト」提供サービスの一部をご紹介します。
ブラックリストとフリーメールサービスの違い
混同されがちですが、ブラックリストサービスとフリーメールサービス(gmail・outlook・icloudなど)は、それぞれ異なる組織が運営しています。
ブラックリストに登録されている迷惑メール配信元情報を使うか、使わないか?
使うにしてもどのように活用するのか?という判断は、フリーメールサービス側の意思に委ねられます。
ブラックリストサービスは、迷惑メール配信元に関する情報を提供しますが、この配信元から送られたメールのブロックを強制することは出来ないのです。
したがって、ブラックリストに登録されたからといって、フリーメールサービスが直ちに受信ブロックの対象にするとも限りません。
逆に、ブラックリストに登録されていなくても、フリーメールサービスに受信ブロックされてしまうケースもあります。
ブラックリストとフリーメールサービスが異なる組織であるという認識は、自身の運営するメールマガジンが受信ブロックされてしまった際に有益な知識となります。
どのようなアプローチで受信ブロック問題に対処すべきかを判断する材料になるのです。
ブラックリストとフリーメールサービスの関係
上述の通り、ブラックリストサービスとフリーメールサービスは異なる組織です。
では、ブラックリストとフリーメールサービスはどのような関係を持っているのでしょうか?
ここでは、フリーメールサービスがメールを受信する時の流れを例に、ブラックリストとフリーメールサービスとの関係性をまとめてみます。
尚、説明の便宜上、フリーメールサービスを「gmail」、ブラックリストサービスを「spamhaus」として記述します。
- メール配信者がgmail宛てにメールを配信する
- gmailがメールを受信する
- gmailがspamhausに対して、受信したメール情報のブラックリストへの登録状況を問い合わせる
- spamhausがブラックリスト登録の有無をgmailに返答する
- spamhausからの返答をgmailが判断し、そのメールを受信するか否かを判断する
フリーメールサービスはブラックリストサービスに対して、受信したメールの状況を問い合わせます。
そして、ブラックリストサービスから返却された情報を「参考」にしながら、受信メールをブロックするか否かを決定します。
受信メールをブロックするか否かを最終的に判断するのは、ブラックリストではなく、フリーメールサービス側となるのです。
ブラックリストに登録されてしまう理由
ブラックリストサービスはどのように迷惑メール配信元に関する情報を収集するのでしょうか?
ブラックリストへの登録基準や、その収集方法は明らかにされていませんが、「スパムトラップ」という手法は迷惑メールの送信元を特定するための手段として広く知られています。
スパムトラップは、迷惑メール配信者を特定するためだけに用意された特別なメールアドレスです。
この特別なメールアドレスは、ネットショップやメールマガジンなどのサービスに使用されたことが無く、本来メールが届くはずの無いアドレスです。
この特別なメールアドレスにメールを配信するものは、迷惑メール配信者である可能性が高いと判断されます。
例えば、軽い気持ちで購入したメールアドレスリストに、スパムトラップ用のメールアドレスが混入していた場合、その配信元は迷惑メール送信元としてブラックリストに登録されてしまう可能性があるのです。
ブラックリストに登録されてしまった場合の対処方法
ブラックリストに登録されてしまった場合、どのような対処が出来るのでしょうか?
まずは、メールマガジン配信環境が本当にブラックリストに登録されているか否かを確認します。
不幸にもブラックリストに登録されていた場合、ブラックリストサービスに対して解除申請が出来る場合があります。
ブラックリストからの解除申請には、多くの場合メール配信環境のIPアドレスが必要になりますので、事前に調べておく必要があります。
更に、ブラックリストに登録され且つフリーメールサービスからも受信ブロックをされてしまった場合は、フリーメールサービスに対してもブロック解除を申請します。
つまり、下記2つのサービス事業者に対して、それぞれ解除申請を行う必要があるのです。
- ブラックリストサービス
- フリーメールサービス
spamhausに対する解除申請の例
ブラックリストサービスを提供しているspamhausを例に、登録解除申請の流れをまとめます。
- ブラックリストへの登録の有無を確認する。Blocklist Removal Center
- ブラックリスト登録されていた場合、解除申請をする。Blocklist Removal Center
解除申請画面では、下記項目への入力を求められます。
- 「IP Address to remove」:ご利用の環境のIPアドレス
- 「Your Email Address」:フリーメールなどではない、受信可能なメールアドレス
- 「This IP is in Country」:「Japan」を選択
- 「This IP Address is」:「Static」を選択
- 「This IP Belongs to」:「A Mail Server」を選択
- 「Enter the Numbers shown」:表示されている画像の数字を入力
- 「Submit」ボタンをクリック:暫くすると、認証コードがメールで送られてくる
- 「Enter your 5-digit code」:メールで送信された確認コードを入力
- 「Finish」ボタンをクリック
フリーメールサービスに対するブロック解除申請
フリーメールサービスに対するブロック解除申請につきましては、ワイメール公式オンラインヘルプの下記エントリにまとめております。
ご参考になれば幸いです。
不完全なブラックリストサービスによる巻き添えに対処する
不特定多数の宛先に対して「望まないメール」を一方的に送り付ける迷惑メール。
その送信元をまとめた「ブラックリスト」は、必ずしも完全なサービスではありません。
登録されている情報の精度や運用には多くの課題を抱えています。
ブラックリストは不完全なサービスであるがゆえに、本来登録されるべきでないメール配信元まで無分別に登録されてしまうことがあります。
この様な未完成で大雑把な運用がされている「ブラックリスト」サービスに、誠実なメールマガジン運営者が巻き込まれてしまう事態も少なからず起こっています。
このエントリが、不適切にブラックリスト登録されてしまったご利用者さまの一助になれば、メール配信システムを運営するワイメールのスタッフとしても、とても嬉しいことです。
今後もワイメールをよろしくお願いいたします。
“ブラックリスト登録とともにフリーメールサービスから受信ブロックされた時の対処” への2件の返信
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