特定電子メール法・特定商取引法を守っていますか?

今回も当コラムをご覧いただきありがとうございます。

さて、メルマガ配信で営業をかけたり、自社サービスの告知を行うときなどに、意外と見落としてしまいがちなのが、メール配信に関する法律上の決まり。

特に日本では、主に営業のための広告宣伝メール配信に対しては、「特定電子メール法」「特定商取引法」という法律の中で、明確な決まりが設けられています。

メルマガ配信に慣れている人も、そうでない人も、誤って法律に抵触するメールを配信してしまう前に、ここで改めて必要な対策を確認しておきましょう。

特定電子メール法とは?

営利目的で不特定多数宛てに配信される迷惑メールを防止するための法律です。正式な名前は、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」といいます。

総務省では、一般の方でもわかりやすいように、挿絵付きのガイドラインを公開しています。

我々も、主にこのガイドラインを確認しながら、迷惑メール配信の判定やその他の対策などを行っています。

特定電子メールとは

この法律が義務付けられる対象のメールを「特定電子メール」と呼びます。

要は、「広告宣伝のために送信するメール」が、特定電子メールにあたると考えていただくと、わかりやすいかと思います。

これは、SMSを利用して配信するもの(携帯同士で配信するもの)、他人の営業のために配信されるものも含まれます。

ただし、非営利団体や営業を営まない個人が配信する電子メールは、含まれません。

送信者の義務

特定電子メールに該当するメールを配信する際は、原則として以下を守らなければなりません。

  • あらかじめ、メールを配信する相手の同意を得る(オプトイン方式)
  • 同意を得られた場合は、同意を得た証を記録しておく
  • 同意を得た証を記録しておく期間は、対象のメールを最後に配信してから1か月以上
  • 配信するメールの中に、送信者情報など、定められた情報の記載を行う

なお、上記に付随して、

  • 同意なしに配信することができる場合(例外)
  • 同意を得た証はどのようなものが認められるのか
  • 送信者情報はどの範囲まで、またどのような体裁で記載する必要があるか

など、細かな点についても、ガイドラインや総務省のページをよく確認していただく必要があります。

ちなみに、送信者情報の書き方の例を以下に示します。

正しい例

・送信者名:株式会社〇〇〇
・所在地:東京都港区×××1-2-3 □□ビル△△△号室
・その他の送信者情報、お問合せ先はこちら:https://***.co.jp/contact/
・配信停止のお手続きはこちら:https://***.co.jp/mail/unsubscribe/

 

誤った例

・送信者情報はこちら:https://***.co.jp/mail/sender/

 

→ 少なくとも、送信者の名称はリンクではなく、メール内に具体的に記載しなければなりません。

→ 配信停止を行うことができる旨、またその方法が明記されていません。

罰則

特定電子メール法に違反すると、以下のような罰則があります。

  • 送信者情報を偽った送信

1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して3,000万円以下の罰金)

  • 架空の電子メールアドレスあてのメール配信
  • 受信を拒否した者へのメール配信
  • 表示義務違反
  • 同意を得ていない者へのメール配信

総務大臣及び内閣総理大臣による命令(架空電子メールアドレスあての配信の場合は、総務大臣による命令)。命令に従わない場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して3,000万円以下の罰金)

  • 同意の記録義務違反

総務大臣及び内閣総理大臣による命令。命令に従わない場合、100万円以下の罰金(法人の場合は行為者を罰するほか、法人に対して100万円以下の罰金)

特定商取引法とは?

特定商取引法は、事業者による悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。

具体的には、訪問販売や通信販売などの消費者トラブルを生じやすい事業をメインに、守るべきルールと、クーリング・オフなどの消費者を守るルールを定めています。

カバーする範囲が非常に広いのですが、メール配信時の注意点については、こちらの資料で分かりやすく解説されています。

ちなみにどちらも意味は同じですが、特定電子メール法でいう「広告宣伝のために送信するメール」を、特定商取引法では「電子メール広告」と呼んでいます。

送信者の義務

特定商取引法上の電子メール広告を配信する際は、原則として以下を守らなければなりません。

  • あらかじめ、メールを配信する相手の同意を得る(オプトイン方式)
  • 同意を得られた場合は、同意を得た証を記録しておく
  • さらに、承諾(同意)があったことを示す書面または電子データを保管しておく
  • 同意を得た証、承諾(同意)があったことを示す書面または電子データを保管しておく期間は、対象の電子メール広告を最後に送信してから3年間
  • 配信するメールの中に、配信を拒否するための方法をわかりやすく記載する

特定電子メールと同じような内容ですが、ポイントとしては、特定電子メール法では、同意を得た証(同意を受けた際の状況を示す記録(例えば当時の登録フォームのキャプチャ)とその時の伝達文など)の記録でよいとされるのに対し、特定商取引法では、これに加えて、相手先から承諾があったことを示す証拠のデータを、あわせて保管しなければなりません。

またそれらの保管期間は3年と、特定電子メール法に比べ長くなっています。

このことより、メール内の表示義務については特手電子メール法オプトインの方法とそれらの記録の保管については特定商取引法、とより厳しい方の内容を基準として、管理することが望ましいと考えます。

今後注意すべきこと

法律といえども、世の中の流れに合わせて常に変わっていくものです。数年前までの法律の内容を基に対策をしていたら、すでに法律が改正されていた、なんてことも珍しくありません。

一度の対策で安心せず、定期的に所轄官庁のアナウンスをチェックし、改定のアナウンスなどがあったら、早め早めに周知し、現場の対応に落とし込むように心がけましょう。

特定電子メール法であれば総務省、特定商取引法であれば消費者庁が日本の所轄官庁となります。

法律さえ守っていればどんなメールを配信してもOK?

「オプトインも取った、同意のデータも保管している、表示義務も満たした、さあ今日は30回売り込みメール送るぞ!」

ちょっと待ってください。相手先が1日30通の営業メール配信を希望しているのですが?まさかそんなことはないでしょう。

これでは法律の「営利目的の迷惑メールを防止する」という目的が本末転倒になってしまいます。

秩序を守った健全な運営をこころがけ、読者に対して配信者の信用をしっかり築き上げていくことも、しいては会社の利益につながります。

なお、魅力的なコンテンツを作って、精読率やクリック率を上げるための手法としては、以下の過去記事などがご参考になるかと思いますので、お時間のある時にぜひご覧ください。

 

引き続き、有効なマーケティングツールであるメール配信システムの魅力を最大限生かしつつ、信用を構築しながら、メルマガの運用に励んでいただければと思います。